最近フラワードリッパーを見かけることが増えてきましたが、そのメーカーである三洋産業から2019年11月11日11時11分11秒に発売になったロースト別の円すいコーヒーフィルターについて紹介していきたいと思います。
ロースト別のペーパーフィルターに興味がある
ペーパーによる味の変化を楽しみたい
様々なローストの豆を飲むことが多い
三洋産業とは
名前だけ聞くとピンとこない方が多いと思いますが、最近抽出を競う大会で優勝者、並びに参加者が多く使っていることで話題となったフラワードリッパーを作ってるメーカーといえばわかりやすいかもしれません。
三洋産業は大分県別府市のある会社で、コーヒーフィルターペーパーの製造、コーヒー焙煎から充填加工、PB(プライベートブランド)企画提案などの販売促進まで行っている、日本で唯一のコーヒー関連商品の総合メーカーです。
元々はペーパーフィルターのメーカーで、円すい系のフィルターを日本で最初に作ったとのことで、以前はコーヒー関連の大手企業に卸していたそうです。
アバカ円すいコーヒーフィルターが有名
三洋産業の商品としてフラワードリッパーと並び有名なのがアバカを使ったコーヒーフィルターです
アバカ(マニラ麻)は、木材の4倍の強度を持ち、針葉樹の半分の細さのパルプ(繊維)が得られる為、通液性が良くしなやかで丈夫であることが特徴です。
素晴らしいフィルターで大会参加者がこぞって使用しており、評価がとても高いのですが今回はロースト別のフィルターを紹介しますので詳細については別の機会に譲ることにしました。
商品ラインナップ
こちらの商品は浅煎り用(左)、中深煎り用(真ん中)、深煎り用(右)の3つの商品がラインナップされています。
中深煎り用は「T-90」、深煎り用は「T-83」と数字が記載されていますが、これは推奨の抽出温度を示しています。
同じシリーズの商品ですが、浅煎りだけ数字の記載がなく統一感がないのは浅煎り用が先行発売されて後から中深煎り用、深煎り用が発売された為とのことでした。
購入者からすると少し分かりにくいのではと感じました。
それぞれのペーパーの違いと外観
まずは並べてみました。ぱっっと見違いが分かりません。 ↑横からみた図。厚みが全然違います。
定規で計測してみたところ、
浅煎り用(左)は最厚部43mmで最も薄く、
中深煎り用(真ん中)最厚部49mmで最も厚く、
深煎り用(右)最厚部47mmでやや厚めでした。
浅煎り用
公式HPでは以下のような商品説明があります
浅煎りコーヒー豆のフルーティーな香りとさわやかな酸味を引き出すOne Side Crepe構造。前半は少し速め、後半は少しスローな”ウォーターフローコントロール”を実現しました。
お店の人の話しによれば、前半は早く落ち、途中から目詰まりを意図的に起こさせることで抽出速度が遅くなり抽出のに時間がかかる浅煎り豆の良い部分を引き出すとのことでした。
外側はシワ(クレープ)が入っています。内側はシワが入っていません。
中深煎り用
公式HPでは以下のような商品説明があります
推奨抽出湯温90℃で、中深煎豆を最も美味しく淹れるために重要なスムーズフロー。絶妙な高低差のTwo Side Crepe構造で、香り豊かなフレーバーを最大限に引き出す理想的な抽出スピードを実現。
お店の人の話によれば、目詰まりを起こさないことで抽出速度が最速とのことでした。
注ぎ方でゆっくりにもできるので万能タイプとのことでした。
両面深いシワが入っています。これにより目詰まりを起こさず抽出を通してスムーズにお湯が落ちます。指触りがザラザラで高低差があります。
中深煎り用はアバカに近い
アバカとの違いについても聞いてみたのですが抽出速度は比較的近いとのことでした。
アバカの方がワンランク上の素材ですが価格が安いため一般的なお客さんには方にはまずアバカを勧めるとのことでした。
アバカとロースト別フィルターには価格差がありますが、ロースト別のフィルターには付加価値をつける為に少し価格設定を高くしているそうです。
試しにアバカのフィルターも使ってみたところ、抽出時間、コーヒー濃度(TDS値)も中深煎り用のフィルターと同程度になりました。
深煎り用
公式HPでは以下のような商品説明があります
深煎豆のボディーとコクを最大限に引き出す湯温83℃。Two Side Crepe構造ながら、クレープの高さを惹き目に調整。83℃のベスト湯温に、前半はスムーズフロー、後半は若干のブレーキをかける抽出スピードで、さらなるコクとボディー感を実現。
中深煎り用よりもザラザラ感、高低差が少ないです。
水を落とした時間の比較
フィルターをまず水で濡らし、250mの水を一気に注ぎ150mlになった時間を計測しました。3回測定しその平均値を求めました。
浅煎り用
滴下時間=9.29秒
中深煎り用
滴下時間=9.84秒
深煎り用
滴下時間=10.57秒
水を落として早かった順
浅煎り用>中深煎り用>深煎り用
実際に抽出して時間と濃度を比較してみた
【方法】
20gの中煎りブレンドの同じ豆をネクストGの挽き目3で同じ粒度で挽き、88度のお湯を使い300ml抽出しました。ドリッパーはフラワードリッパーを用いました。
蒸らしは30ml45秒で行い、その後は30秒ごとに75mlずつのお湯を注ぎ、300mlになった時間とコーヒー濃度(TDS)を計測しました。
浅煎り用
抽出時間=3分18秒
TDS=1.24
中深煎り用
抽出時間3分4秒
TDS=1.20
深煎り用
抽出時間=3分11秒
TDS=1.20
結果と考察
抽出時間(早い順)
中深煎り用(3分4秒)>深煎り用(3分11秒)≧浅煎り用(3分18秒)
私の拙いハンドドリップでの抽出だったので、全く同じ注ぎ方ができているかは微妙ですが、今回の結果としては抽出時間は早い順に中深煎り用>深煎り用≧浅煎り用の順になりました。
店員さんの話によれば、中深煎り用が最も早く、浅煎り用が最も遅く、深煎り用は中間ぐらいと聞いていたのですが、大体同じ結果になりました。
また、水だけを落とした場合、浅煎り用>中深煎り用>深煎り用の順でしたがこれの通りにならなかったのはコーヒーの層があった場合、一様にお湯が落ちない為ことを意味しているのだと思います。
コーヒー濃度(TDS)
浅煎り用(1.24)≧深煎り用(1.20)=中深煎り用(1.20)
コーヒー濃度は浅煎り用≧深煎り用=中深煎り用となりました。差はわずかで、ほぼ同程度と考えて良いと思います。
通常は抽出時間が長くなるにつれてコーヒー濃度が高くなるのですが、コーヒー濃度は抽出時間順とならず、抽出時間とコーヒー濃度が相関していないことに気がつきました。
これは、今回使用したロースト別のペーパーが一様に同じ速度で落ちるわけでではなく、目詰まりなどをすることで抽出の前半と後半で抽出速度が違う為一律に考えられないのでは?と思いました
コーヒー濃度計は、平たく言えばコーヒーの濃度を測定しているだけなので、コーヒーの良い部分と悪い部分、香り、苦味や渋みなどを数値化しているわけではない為、同じ数値でも味が違うこともあるのです。
実際に横に並べて味を比べなければ数値では分からない味の違いが比較できないかもしれませんが、今回は同時に抽出して味の比較をしたわけではない為味の違いは分かりませんでした。今後の課題としたいと思います。
まとめ
- 三洋産業はフラワードリッパーやアバカ円すいコーヒーフィルターで有名
- 浅煎り用に加え、中深煎り用、深煎り用のペーパーが新発売になった
- 浅煎り用は外側片面のみのしわ(クレープ)で前半早く、後半遅くなる
- 中深煎り用は両面の深いしわ(クレープ)で、最初から最後までスムーズに落ちる。抽出速度は最速。万能タイプで様々な注ぎ方に対応。抽出速度はアバカに近い。
- 深煎り用は両面の浅いシワ(クレープ)で最初スムーズ、後半少し遅くなる。
- 水を落として早かった順は浅煎り用>中深煎り用>深煎り用
- 抽出時間は早い順に中深煎り用>深煎り用>浅煎り用
- コーヒー濃度は浅煎り用≧深煎り用=中深煎り用だが数値は同程度になった。
実際に使ってみないと分からないことも多いと思いますので、みなさんも実際に使い比べて違いを見つけてみてはどうでしょうか。今淹れているコーヒーがさらに美味しくなるかもしれません
今回使用しているフラワードリッパーについては別の記事にしていますので以下のリンクからどうぞ♬