最近ドリッパーのレビューをしているのですが、味の表現が難しく色々と調べていたらコーヒー濃度計というがあると知りました。3万円を超える価格で非常に悩みましたが、後学のための自己投資と思い思い切って購入しましたのでレビューしていきます。
コーヒーの味を数値化したい
自分の求めている味に近づけたい
抽出の再現性を確かめたい
複数のコーヒーを比較したい
自分の淹れるコーヒーを客観的に評価したい
糖度とTDSについて
糖度 Brix(%)
基本的にはBrix(%)はショ糖液100g中に含まれるショ糖のg数を目盛ったもので、ショ糖液を測る場合には実際濃度と合致します。他の物質を主体とした溶液で特に定量的に濃度を知りたいときには換算表が必要です。
また、Brix(%)はサンプル(水溶液)中に含まれる可溶性固形分のパーセント濃度を示します。可溶性固形分は糖をはじめとして塩類、蛋白質、酸など水に溶ける物質全てであり、測定値はそれたの合算値になります。
TDS
コーヒーの可溶性固形分濃度%(g/100g)を示します
製品マニュアルより引用
商品スペック
仕様
型式 | PAL-COFFEE (BX/TDS) |
---|---|
Cat.No. | 4533 |
測定範囲 | Brix : 0.00~25.00% TDS : 0.00~22.00% |
測定精度 | Brix : ±0.10% TDS : ±0.15% |
温度補正範囲 | 10~100℃ |
使用環境温度 | 10〜40℃ |
サンプル量 | 0.3ml以上 |
測定時間 | 約5秒〜 |
バックライト | 操作時に30秒点灯、30秒後消灯 |
履歴上限数 | 100 |
電源 | 単4アルカリ乾電池×2本 |
防水保護等級 | JIS-C09205級防噴流形 IEC規格529 IP65 |
寸法・重量 | 55(W)×31(D)×109(H)mm、100g(本体のみ) |
生産国 日本
商品ラインナップ
PAL-COFFE No.4523
→糖度のみ測れるモデル
価格 30250円(税込)
PAL-COFFEE(TDS)No.4532
→TDSのみ測れるモデル
価格 30250円(税込)
PAL-COFFEE(BX/TDS)No.4533
→糖度とTDS両方測れるモデル
価格33000円(税込)
価格差2750円ありますが、高い買い物ですのでどうせなら両方測れるモデルがと思い購入しましたが、TDSだけが分かればいいのでTDSだけのモデルでも良かったかもしれません。
開封して実際に使ってみた
外箱の様子。
専用のしっかりしたケースに入っています。
ビニールっぽい素材で多少の水がかかってもはじきます。
使う人のことを考えて作られています。
可愛いイラストが書かれています。
安心のMade In Japanです。 箱にスリットが入っており取り出しやすくなっています。
ポケットと言いながら、以外と大きいです。
iphone8とのサイズ感の比較
裏面の様子。スケルトン仕様なのはメカ好きをそそりますね。
単4電池2本もあらかじめ入っています。
説明書には書いていませんでしたが、青い絶縁テープ(?)を剥がす必要があります。
これが分からず、最初電源がつかないと焦りました。
左下の位置にストラップホールもあります。製品登録をすれば、1年の保証を1年延長して2年になります。やらない手はないですよね。
「たった1分」でと書かれていましたが、おそらく1分では終わりません。
機種名や測定範囲を自分で入力しなければなりません。リストがあるわけでもなく手打ちです。せっかくQRコードで読み取るわけなので、製品ごとにQRコードを変え、機種名や測定範囲を入力しなくていいようにできたのでは?測定範囲は機種名でわかるのでは?と感じました。
まずは常温の水でゼロ点を合わせます。
お湯や冷たい水を使わず、常温の水を使う必要があります。
また、滴下してすぐではなく、本体の温度になじませてから行う必要があります。
プリズム面を傷つけないように金属は使用しないようにとのことで、樹脂製のスポイトを用いました。
水を乗せたらスタートボタンを押せば測定が始まります。
黄色い光が断続的に点滅します。
測定結果が出ます。7.3秒で表示されました。
今回はゼロになりましたが、ゼロにならなければ「ZERO」のキーを押してゼロ点を合わせます
カリタのウエーブドリッパーで12gの豆を150ml抽出しました プリズム面の水分をキッチンペーパーなどで拭き取り、コーヒーを乗せます。
コーヒーも高温だったり、低温の場合はなじむまで20秒おくか、数回測定を繰り返すようにしてくださいとのことです。 8.3秒後に測定結果が出ました。
糖度は1.65、TDSは1.31となりました。
測定結果をみて感じた違和感
測定結果がBrix,TDSの両方が同時表示されています。Amazonの商品写真を見たところ、測定結果は1つだけ表示されていて、ボタンを押してBrix,TDSを切り替える仕様となっています。
型番も同じなので、「もしかしたら偽物をつかまされたのでは!?」と嫌な予感がして、カスタマーサービスに電話して確認したところ、仕様変更がありましたとのことでした。安心しました。
画面を切り替えずに両方一緒に確認できるようになったのはいい仕様変更だと思いましたが、仕様を変更しているのであれば、型番を変える等した方が良いのではと個人的に感じましました。同時に、型番が同じなので仕様変更品を購入者は選ぶことができないのではないかとも思いました。
使用後の片付け
- サンプルを拭き取る
- プリズムとその周囲を中性洗剤でみずあらいしよくすすぐ
- ティッシュペーパーなどよく拭き取る
本機は水洗いできる防水仕様ですが、水中にはつけないようにしてください。
糖度と収率の関係
上は製品に同封されていたパンフレットですが、これによれば
- 収率が低いと「酸味」を感じる
- 収率が高いと「苦味」を感じる
- 濃度が低いと「ライト」
- 濃度が高いと「ストロング」
と味の傾向がおおまかにわかります。
収率(Yield)とは
収率(しゅうりつ、英: yield)はある物質を得るための化学プロセスにおいて、理論上得ることが可能なその物質の最大量(理論収量)に対する実際に得られた物質の量(収量)の比率である。そのプロセスがすぐれているかどうかの指標の一つとされる。
コーヒーで考えた場合、コーヒーに含まれる全成分を100としたときに、抽出により10溶け出たとすれば、収率は10%になります。
今回の抽出例
12gのコーヒー豆を使い、150ml抽出し、濃度(TDS)が1.31%だった
この場合を例に考えて見ると、
150(ml)×1.31/100(TDS)=1.965g(溶け出た成分の重さ)
12gの豆を使用したので、
収率=1.965g÷12g×100=16.375%になります。
収率とTDSの基準値
上記の表は、SCAA(Spetiality Coffee Association America)の抽出相関図(Brewing Chart)で、TDSと収率(Yield)の関係を示した表です。
美味しいという訳ではなく、バランスがいいという指標です。
IDEAL OPTIMUM BALANCE(理想的な最適バランス)
TDSは1.15〜1.35、
収率は18-22%
今回はTDSは適正であるが、収率が抽出不足という結果になりました。
使ってみた感想と今後の展望
コーヒーの味の感じ方は個人差があり、その時の体調や状況により変わるためため曖昧ですが、数値化することである程度は客観性を持たせることができるのではないでしょうか。
コーヒに関連するものをレビューをする身としては大きな助けになります。
これからこちらの濃度計を用いてドリッパーによる味の違いや複数のコーヒーを飲み比べて行きたいです。
高い買い物でしたが買ってよかったと思います。
まとめ
値は張りますが、買う価値は十分あると思います。
特に、珈琲店やカフェの方や、商品開発に携わる方など、コーヒーを提供する方にはおすすめの商品だと思います。
コーヒー濃度計を使い、コンビニコーヒーの濃度測定し比較した記事は下のリンクからどうぞ♬