10月1日は国際コーヒーの日です。それにちなんで今回はコーヒーの効果について紹介していきたいと思います
コーヒー豆に含まれる主要成分とその効果
ポリフェノール
コーヒーの褐色や苦味、香りもとになっている。主な作用は抗酸化作用で活性酸素による酸化を防いでくれる。過剰な活性酸素は細胞や遺伝子を傷つけがんの一因になると言われている。
血液中では脂質と反応し、動脈硬化や心筋梗塞を予防すると考えられている。 出典:全日本コーヒー協会
クロロゲン酸
ポリフェノールの一種で、タンニンとよく似た働きをする。 マルトースをグルコースに分解する酵素であるα-グルコシダーゼの阻害活性が認められ、ラットで食後の血糖上昇の抑制作用が認められた。糖尿病予防、脂肪の吸収抑制、発がん予防の報告もある。
出典:Wikipedia
カフェイン
眠気冷ましなどの興奮作用、自律神経の働きを高める働き、集中力を高める働き、運動能力を向上させる働き、利尿作用がある。出典:全日本コーヒー協会
カフェインを摂取するタイミングについては別の記事にしていますのでご参照ください。
コーヒーの健康に与える作用
- 中枢神経興奮作用(精神の高揚・眠気防止/不安・不眠)
- 骨格筋運動亢進作用(筋肉の疲労を取る/ふるえ)
- 血圧上昇
- 利尿作用
- 胃液分泌促進(消化促進/胃炎を悪化させる)
- 血中コレステロール(LDL, TC)低下
- 大腸ぜん動運動の亢進(緩下作用/下痢)
ただし、高血圧、心疾患、パニック障害を持つ方は過量投与により悪影響が出る可能性があるため注意が必要です。
日本国内でのカフェインについての基準量がありませんが、カナダ保険省では1日400mgを超えないとしています。
健康な一般成人の場合、カフェインを1日当たり400mg以上を摂取しないようカナダ保健省は勧告している出典 カナダ保険省。
コーヒーが精神に与える作用
コーヒーは発見当初から眠気防止や眠気覚まし、疲労回復などの作用を持つことに注目されてきた薬用植物、精神刺激薬である「コーヒー」×「昼寝」ダイドードリンコ。
一方で、コーヒーが過度の刺激剤や興奮剤として働く可能性を指摘し、敬遠する人も存在している。コーヒーには軽度の習慣性があるとされる。これはカフェインによる作用だと言われている。カフェインにはその苦みに対する感受性が高い人間に軽い依存症を引き起こす働きがあるという。ノースウェスタン大学の研究チームによれば、苦味成分の一種であるキニーネやプロピルチオウラシルに対する感受性が高い遺伝子を持つ人たちには、コーヒーの摂取量が少ない傾向がみられており、研究チームは「コーヒーを飲む人たちは、カフェインによって引き起こされる肯定的な影響(刺激)を学習し、カフェインを好む(検知できる)ようになったと考えられる」と説明している[注 5]。そして研究チームはその習慣性が心理現象である可能性が含まれていることを指摘している[30]。加えて同大学の遺伝科学者チームは「カフェインに対する人の好みはその味によるものではなく、摂取後の感覚から生じている」可能性があるとしている[31]。
また一日に300mg以上(コーヒー3杯に相当)のカフェインを常用する人には、カフェイン禁断頭痛と呼ばれる一種の禁断症状が現れることがある。これは最後のカフェイン摂取から24時間以上経過すると偏頭痛様の症状が現れるものである。このカフェイン禁断頭痛は症状が現れてから、カフェインを摂取することで30分以内に消失するが、カフェインを摂取しない場合は2日程度継続する。ただし、これらの症状は麻薬類やニコチン、アルコールと比較して、きわめて軽微なものだと考えられており、規制や年齢制限などは必要ないと考えられている。
発症リスクへの影響
- 発症リスク低下(ほぼ確証):パーキンソン病・大腸がん・直腸がん・2型糖尿病
- リスク低下の報告あるが論争中 :アルツハイマー病・肝細胞がん・胆石
- リスク上昇の報告あったが後に否定された:高脂血症・膵臓がん・心不全・十二指腸潰瘍
- リスク上昇の報告あるが論争中:関節リウマチ・高血圧・死産リスク・骨粗鬆症・膀胱がん
- 発症リスク上昇(ほぼ確証):(今のところ特になし)
- 出典:Wikipedia
コーヒーと病気の予防に関する疫学調査
2型糖尿病 、肝臓がん、慢性肝炎、
アルコール性肝硬変、パーキンソン病…☆☆☆☆☆
高血圧、ウイルス性肝炎の発がん、うつ病、ドライマウス…☆☆☆
出典:珈琲1杯の薬理学 岡希太郎 著
信頼すべき複数の機関が発表した論文で同じ結論に至ったものの回数が多い方が信頼性が高い薬としてその信頼性を星の数で表して示してみた結果です。
コーヒーと日本人と死因との関係
コーヒーを3-4杯飲んでいる人は飲まない人に比べて24%死亡リスクが低い
コーヒーをほとんど飲まない群を基準として比較した場合、1日1杯未満、1日1~2杯、1日3~4杯、1日5杯以上の群の危険度(95%信頼区間)は、それぞれ全死亡で0.91 (0.86 ~0.95)、0.85 (0.81~0.90)、0.76 (0.70~0.83)、0.85 (0.75~0.98)となっていました。すなわち、コーヒーを1日3~4杯飲む人の死亡リスクは、全く飲まない人に比べ24%低いことが分かりました。さらに、飲む量が増えるほど危険度が下がる傾向が、統計学的有意に認められました(図1)
出典:国立がん研究センター
全死亡を減らすという結果は、薬物療法においてもなかなか出る結果ではないため、驚きました。
信頼性の高い国立がんセンターの研究なので信頼性は高いと言えるでしょう。
そして、1日3-4杯で最も総死亡が少なかったという結果ですが、コーヒー好きなら1日3-4杯は飲むことができる量だと思います。
「心疾患」「脳血管疾患」「呼吸器疾患死亡」に対し、
コーヒーが有効である。
心疾患死亡、脳血管疾患死亡、呼吸器疾患死亡については、コーヒー摂取による危険度の有意な低下がみられました。
1日1~2杯、3~4杯の群の心疾患死亡の危険度(95%信頼区間)は、0.77(0.65~0.90)、0.64(0.50~0.84)であり、
1日1杯未満、1日1~2杯、1日3~4杯の群の脳血管疾患死亡の危険度(95%信頼区間)は、それぞれ0.84(0.72~0.98)、0.77(0.64~0.92)、0.57(0.41~0.78)となっていました。
さらに呼吸器疾患死亡では、1日1杯未満、1日1~2杯、1日3~4杯コーヒーを摂取する群の危険度(95%信頼区間)は、それぞれ0.78(0.64~0.94)、0.63(0.50~0.79)、0.60(0.41~0.88)でした(図2)。
がんについては有意差が出ませんでしたが、日本人死亡者数の多い心疾患、脳血管疾患の死亡リスクを減らします。
コーヒーとメタボリック症候群
コーヒー摂取はメタボリックシンドロームと負の相関(改善効果)がある
田主丸研究(福岡県田主丸の住民を対象に1958年の集団検診から始まったコホート研究。世界7カ国による国際共同研究で日本では農村の代表として田主丸が選ばれた)の結果をもとにして、久留米大学医学部の足立寿教授が「コーヒーと緑茶のメタボリック症候群に及ぼす関係」を探った研究を行いました。
コンポーネント数とは、高血圧や糖尿病を1と数え、こえらが重複している場合は2となり、ウエスト径が大きい、高血圧で脂質異常があり、糖尿病等を併発している人を3以上ととらえたもの。0とはメタボリック症候群の兆しが見られない人のことです。
緑茶は飲用量とコンポーネント数に関連性が見られなかったのに対して、コーヒーは毎日多く飲んでいる人ほどコンポーネント数は少なくなりました。
緑茶とコーヒーはいずれもカフェインを含みますが、コーヒーだけに逆相関がみられたということは、カフェインだけではなく、コーヒーに含まれる特有の成分が働いているものだと推測されます。
コーヒーと心拍数
コーヒーの摂取量が多いほど、安静時の心拍数が低下し、コーヒーを飲む人の方が死亡リスクが低くなる
コーヒー摂取量が少ない人ほど、心拍数が多い群ほど死亡率が増加するという結果が出ました。
心拍数が多い動物ほど早死にすると聞いたことはありませんか?その通りの結果になっています。
心血管病治療とコーヒーに含まれるポリフェノール
クロロゲン酸を投与していないマウスよりも、クロロゲン酸を投与したマウスの方が心臓のポンプ機能が回復した
東京大学大学院医学系研究室の鈴木淳一先生の研究によれば、心筋梗塞状態にした状態のマウスにクロロゲン酸を投与したところ、心臓のポンプ機能が回復したというものでした。
脳卒中に関する最新研究とコーヒー
コーヒーを習慣的に飲むことで脳卒中の死亡リスクを減らすことができる
世界で最も権威のある医学雑誌「THE NEW ENGLAND JOUNAL OF MEDICINE」で2012年に発表された「コーヒーの飲用と死亡率の関係」の論文です。カフェインが入っているコーヒーでも、カフェインが入っていないコーヒーでも飲用により脳卒中リスクが減っています。
東京慈恵医科大学分子生理学講師の山澤徳志子先生の研究によれば、事前にクロロゲン酸を投与するとグルタミン酸によるカルシウム濃度の上昇が抑制され脳卒中のリスクが低下する可能性が示唆されました。
パーキンソン病を抑えるコーヒーの可能性
カフェインが脳細胞死を抑制する可能性
鳥取大学医学部の中曽一裕准教授の実証実験によると、投与したカフェインの濃度に応じて細胞の生存率が上昇。カフェインが脳細胞死を抑制する可能性が示唆されました。
カフェインは神経細胞の生存に重要な「シグナル伝達経路」を活性化することがわかりました。
クロロゲン酸がα-シヌクレインの重合を抑制
パーキンソン病は「α-シヌクレイン」が結合して別の化合物を生成することで引き起こされていると考えられているが、中曽一裕准教授の研究によれば、クロロゲン酸にはこのα-シヌクレインの重合を抑えることで神経細胞を保護する働きがあることが示唆されました。
コーヒーと発がん性の関係
コーヒーは1991年の国際がん研究機関の発表によるとコーヒーは「おそらく発がん性がある」というグループに分類されていたが、2016年の国際がん研究機関の発表によると「発がん性が認められない」グループに分類されました。
ただし、同機関によると、65度以上の熱い飲み物を常飲すると食道がんのリスクが高まる可能性があるとしています。
近年、コーヒーに含まれる「アクリルアミド」による発がん性が報道されましたが、その後否定されつつあります。
2016 年6月に国際がん研究機関は、多くの疫学研究等の結果を基 に、コーヒーは「ヒトに対する発がん性について分類できない」と発表しました。
2018年3月、カリフォルニア州法プロポジション65(安全飲料及 び有害物質施行法)という制度に基づき、コーヒーにはアクリルアミドが含ま れていることから、カリフォルニア州においては、コーヒー製品にがんの警告 表示をすべきとの裁判結果が出ました。しかし、それに対し、FDA(米国食 品医薬品庁)は、最新の調査結果では、コーヒーに関するがんの警告を支持す るものではないと発表し、現時点では、カリフォルニア州ではプロポジション 65のがん警告からコーヒーを除外する規則を提案しているとのことです
国際がん研究機関および、国立ガン研究センターによれば、コーヒーの摂取量が多いと肝臓ガンのリスクが現象する傾向にあると報告し、子宮体がんのリスク低下も発表されました。
まとめ
コーヒーは以前から体に良い説や、体に悪い説が繰り返し報じられていますが、それに一喜一憂することなく正しい情報を判断したいですね。
10月1日は国際コーヒーの日ですが、コーヒを片手にコーヒーが持つ無限の可能性に思いを馳せて見ませんか?