勉強や作業前にコーヒーに代表されるカフェイン含有飲料を飲まれる方が多いと思いますが、今回いつ飲むべきかを考えていきたいと思います
勉強や作業前にコーヒーを飲んでいる
カフェインを効果的に摂取したい
昼から眠くてだるくて困っている
カフェインの効果
- 覚醒作用
- 血管拡張作用
- 交感神経刺激(基礎代謝促進)
- 胃酸分泌促進作用
- 利尿作用
カフェインの作用時間
カフェインは摂取後約15分で吸収され、20-30分後に最高血中濃度になり、その効果は個人差ありますが、5-8時間続くと言われています。
半減期(薬などの物質が、代謝や排泄などによって半分に減るまでに要する時間)は約5時間程度のようです
コロラド大学のケネス ライト教授(統合生理学)の研究によれば、
夜にカフェインが入ったコーヒーなどの飲料を飲むと睡眠のリズムが乱れるのは、睡眠と覚醒をコントロールしている概日リズムに遅れが出るためだという。
「就寝の3時間前にエスプレッソをダブルで飲むと、およそ24時間の周期で働いている体内時計に40分の”位相後退”(遅い時間へのずれ)が起こる可能性があります」
出典 Effects of caffeine on the human circadian clock in vivo and in vitro
必要なカフェイン量
ヨーロッパでは注意力・集中力の向上には75mg以上摂取としており科学的根拠が十分にあると見なされ、ヘルスクレーム(食品での機能性表示)が認められています
出典 EFSA J (2011) 9: 2054 EFSA J (2011) 9: 2053
また、九州大学大学院医学研究院予防医学分野教授の古野純典先生の話によればカフェイン100mg程度の単回摂取でもその効果は充分現れますが、摂取量を増やしても、必ずしも効果が強まるわけではないようです。
出典 ネスレなぜなに?「コーヒーと健康専門家インタビュー記事シリーズ
カフェインの代謝
カフェインは肝薬物代謝酵素CYP1A2で代謝されますが、人種による代謝能に違いはないようです。
カフェインとるべき時間について
興味深い科学情報を紹介する「Asap SCIENCE」に掲載された動画からのご紹介です
動画は英語ですので、英語がわかる方は以下をご覧ください。
解説はガジェット通信さんを参照しています
人間は、誰もがサーカディアン・リズム(生体リズム)と呼ばれる体内時計を持っています。そして、サーカディアン・リズムは「コルチゾール」というホルモンの分泌を調整する役割を担っています。実はこのコルチゾール、ストレスに敏感に反応するホルモンとして知られていて、脳を覚醒させる働きがあり、特に朝の8時〜9時の間に分泌されるようです。
「カフェイン耐性」に注意
しかし、せっかく脳が覚醒する朝8時〜9時にカフェインの入ったコーヒーを飲んでしまうと、コルチゾールの分泌が減少してしまいます。結果、体内にカフェイン耐性がついてしまい、今までより多くのカフェインを欲するようになってしまいます。
飲むなら「9時〜11時」「13時〜17時半」
つまり、コーヒーを飲むなら午前9時以降に飲むと良いそうです。また、お昼の12時〜13時、午後17時30分〜18時30分も同様にコルチゾールが多く分泌される時間帯なので、この時間も避けたほうがベターだそうです。
起床から1時間はあけましょう
コルチゾールの分泌量は、起床時間に関わらず、目覚めた直後に50%ほど増量するといいます。この動画によると「目覚めてから1時間は時間をあけてコーヒーを飲むことが理想的」とのこと。
カフェインナップについて
みなさんは「カフェインナップ」という言葉を聞いたことがありますか?
「カフェインナップ」は昼寝の前にコーヒーを飲む事です。一見相反するもののようですが、科学的には理にかなった方法だと思います。
日本人でありながら2015年にアメリカでブログが書籍化され、Amazonランキング1位獲得のベストセラーになった岩田さんのブログ「I LOVE COFFEE」より紹介いたします。
人間の体にはアデノシンという物質があり、これがアデノシン受容体とくっつく事で眠気と疲れが発生します。しかしカフェインがある事で、カフェインとアデノシンと受容体が結合しアデノシンが余る事で、脳が疲れを感じていないと錯覚します。その結果疲れと眠気は発生しにくくなるのです。
睡眠によりアデノシンが消失します。しかし15-20分以上寝てしまうと脳が深い睡眠に入り込んでしまいます。結果、残眠感が残ってしまい、目が覚めるために時間がかかってしまうのです。
20分の睡眠は脳のリセットに完璧な時間ということになります
つまり、昼寝前にコーヒーを飲む事で、20分の昼寝から目覚めるタイミングでちょうど脳がカフェインと昼寝両方の効果を得られるということになります。
また、東京薬科大学の岡希太郎先生も著書「コーヒー一杯の薬理学」で以下のように書いています。
カフェインは約15分で吸収されはじめ20分から30分で最高血中濃度となり、お目目パッチリ、頭スッキリとなる覚醒効果と、加えてリラックス効果も期待できる
日本では昼寝のイメージはあまりよく評価されないが、昼休みを大事するラテン系、とくにスペインでは「シエスタ」と呼ばれ、午後の活動の大事な行事になっている
出典 「コーヒー1杯の薬理学」岡希太郎著
日本の飲料メーカー、ダードードリンコが行なっている取り組みも理にかなっているのです。
メンタリストDaiGoさんもカフェインナップについてブログで紹介していますし、自身の著書『自分を操る集中力』の中で、
私は午後の眠くなってくる時間の前にヨーグルトを食べ、
コーヒーを飲み、10分ほどのパワーナップをし、
再び仕事に戻るというサイクルを取り入れています。出典:自分を操る集中力 著者:DaiGo
ヨーグルトを一緒にとる理由は、
カフェインの効果が切れた時の体のだるさを回復するためとのこと。
ヨーグルトの脂肪分が、カフェインの吸収を穏やかにするため、効果が切れた時の反動を和らげてくれるから。とのことでした。
もっと社会全体にカフェインナップが広がり、認知されるようになってくると良いと思っています。
昼寝は「悪」ではないのです。
まずは自分の職場から広めていきたいと考えています。
まとめ
- カフェインは摂取後約15分で吸収され、20-30分後に最高血中濃度になる
- 注意力・集中力の向上にはカフェイン75mg以上が望ましいが100m以上では摂取量を増やしても効果が増えるとは限らない
- 起床1時間以内、お昼の12時〜13時、午後17時30分〜18時30分は避ける
- 飲むなら「9時〜11時」「13時〜17時半」
- 昼寝前にコーヒーを飲み20分の昼寝をするカフェインナップを活用しよう
カフェインの他、コーヒーの持つ多面的な作用については別の記事にしていますのでご参照ください。