コーヒーインストラクター検定1級試験を受けたい
試験を受けたが実技試験に不合格だった
実技試験はどういった対策を行えばいいのか分からない
↑試験結果です。※第15回を受けたはずが運営側の手違いにより第14回になっていました。受験したのは第15回です。
コーヒーインストラクター1級検定試験は学科試験、実技試験ともに80点以上が合格ラインで、ボーダーがとても高いです。去年の合格率は48%(一発合格率16.5%)でした。通すための試験ではなく、学科試験、実技試験いずれもきちんと理解したものだけが合格出来る、非常に難易度の高い試験です。
不合格となった時の処置として再試験もあるのですが、当検定においては、試験問題が回収され、正解も分からないため自分がどこが間違えたのかが分からず対策が立てにくい試験です。
実技試験を制するものが試験を制するといっても過言ではありません。
長文になりますが、なるべく詳しく書こうと思いますのでどうぞお付き合いください。
↓1級試験の筆記試験対策はこちらから
検体キットは必須である!!
試験を受けるにあたり希望者は検体キットを購入出来ます。価格が5200円(税込、送料込み)で高価ですが、結論から言うと、自信のある方を除き検体キットは必須だと考えます。
実技試験では、ダメージによる違い、煎豆外観、グレード別テスト、配合分析、オリジン分析の設問があり、微妙な違いを見分けられなければなりません。
繰り返し練習する事で違いを体に叩き込む必要があり、講習での1度の経験、お土産に持って帰れる1〜2回分だけで通るほど甘くはないと個人的に思います。
検体キットの注意点
私が頼んだ検体キットの内容は以下のものでした
①〜⑥カップテスト用(各100g)
⑦⑧煎豆判別Ⅰ(各100g) ⑨⑩煎豆判別Ⅱ(各100g)
①ブラジル タイプ2
②エチオピア G4
③コロンビア エクセルソUGQ
④グアテマラ HB
⑤インドネシア WIB-1
⑥インドネシア AP-1
⑦グアテマラHB
⑧インドネシア WIB-1
⑨ブラジル タイプ2
⑩コロンビア エクセルソ UGQ
ここで注意しなければならないのが、検体キットで全ての問題を網羅していません。
設問でいくと、ダメージ豆、グレード別で使用する豆が入っていません!!
最初豆の入れ忘れかなと思いましたが、リストを見ると不足はありません。「有料としているのであれば、全ての問題に対応できる検体を入れておくべきでは?」と個人的に感じました。
配点で30点分にも相当する豆が入っていないのは何故?それを落とすと不合格になるのですが…
そこで皆さんにアドバスですが、実技の講習の際にダメージの豆(リオ、未成熟豆)と、グレード別の豆(ブラジルタイプ4/5、コロンビアエクセルソスプレモ、グアテマラSHBは確実に、できれば数回分は確保して帰ってください。そして1回分は試験直前まで取って置いてください。
また、カッピング用の豆と外観選別用の豆(①⑨ブラジルタイプ2、④⑦グアテマラHB)は同じ豆ですが、LOTが異なるため混ぜないようにしてください。
設問別対策と注意点
ダメージ判別(配点20点)
リオと正常豆、経年劣化と正常豆、未成熟豆と正常豆のいずいれかが出題されます。カッピングをして判別します。
- リオはイソジンのようなヨードホルムや塩素のような薬品臭で、実技の講習会の際には、誰もがはっきりと分かるレベルでしたが、試験時の検体は、明らかに弱い風味で遠くにリオ臭を感じる程度でしたのでご注意ください。試験時に結構悩みました。
- 経年劣化は古い豆で、ゴムのような重たく不快な香りです。2級の講習会で味わった味を思い出してください。あまり使っていないミルをにおうと、古い豆のにおいがします。
- 未成熟豆はジクロロゲン酸を多く含むため、メタリックな味、渋みを感じます。時間が経つにつれ渋みも強く感じました。
煎豆外観判別(配点40点)
8つの豆を外観から判別します。この設問の配点は40点と全ての設問の中でもっとも高いうえに、配分時間が10分とかなり短かったです。1級合格のための最重要問題と思います。時間との勝負になりますので繰り返し練習してすぐに見てわかるようにしておく必要があります。
インドネシアAP-1、インドネシアWIB-1、ブラジルタイプ2、ブラジルタイプ4/5、エチオピアG4、グアテマラHB、コロンビエクセルソUGQ、コロンビアエクセルソスプレモの8種類だったと思います。
透明な袋に入った豆の状態の検体が8つ配られ判別します。
豆を盛大に机からばらまいた方もいます。狭い机の上での作業になるため、注意してください。分かるものに関してはあえて袋から出さない方がいいかもしれません。
必要があれば虫メガネ・拡大鏡(メガネ)なども許可されるとのことです。ただし、大きすぎるものや不適切と判断されるものは不可です。
①豆の形状からカネフォラ種2つ(インドネシアAP-1、インドネシアWIB-1)を選ぶ。
②センターカットの色、豆の光沢からカネフォラ種を非水洗式→インドネシアAP-1、水洗式→インドネシアWIB-1に分ける。
③アラビカ種をセンターカットの黒いもの→非水洗式(ブラジル、エチオピア)に分る
④豆の形状から、俵形→ブラジル、ひょろ長いものと小さい豆が混在→エチオピアと特定。
⑤ブラジルの豆(タイプ2、タイプ4/5)を未成熟豆が多い→タイプ4/5、粒が大き目で揃っている→タイプ2とした。
⑥水洗式の豆から、センターカットをみてS字のものが多いもの→コロンビア、少ないもの→グアテマラとした。
⑦コロンビアは大きい粒ばかりのもの→スプレモ、大きさにばらつきがある→UGQとした。
以下に各豆の特徴のおさらいしておきます。
インドネシアAP-1(非水洗式)
カネフォラ種であるため、コロコロしており、実が肉厚です。(ピーベリーも)
先端が尖っているものが多く見られます。センターカットが端まで届いていません。
非水洗式のため、センターカットが黒っぽいものが多くみられます。
水洗式と比較して未成熟豆(白っぽい豆)が多く、色がまばらです。全体的に光沢が少な目です。(写真ではわかりにくいですが比べてみるとすぐに分かります)
インドネシアWIB-1(水洗式)
カネフォラ種であるため、コロコロしており、実が肉厚です。(ピーベリーも)
先端が尖っているものが多く見られます。センターカットが端まで届いていません。
水洗式のため、センターカットが白っぽいものが多くみられます。
非水洗式と比較して色が比較的揃っています。全体的に光沢があります。
ブラジルタイプ2(非水洗式)
ブラジルは豆の形が角張っていて、俵形のものが多いです
タイプ4/5に比べて未成熟豆などの欠点が少なく、粒の大きさが揃っています。
非水洗式であるため、センターカットが黒っぽいものが多く、水洗式に比べて表面の光沢が少なくマットな質感です。
ブラジルタイプ4/5
おおまかな特徴はブラジルタイプ2と同じですが、タイプ2と比較して未成熟豆(白っぽい豆)の混入が多い傾向で、豆の粒の大きさが不揃いな印象です。
エチオピア(非水洗式)
エチオピアの味が好きで、試験終了後検体を全て飲んでしましました(汗)
以下の画像は検体キットのエチオピアではなく、地元のコーヒー専門店で購入したものですので参考までに(大まかな特徴は同じですが、購入品はグレードが良いため未成熟豆が少ないです。検体のG4は欠点が多いため未成熟豆がもう少し多く含まれています。)
エチオピアは欠点数だけで各付けするために、豆の大きさがが不揃いで、ひょろ長い豆と小さい豆が混在しています。エチオピアG4はブラジルタイプ2に比べて未成熟豆(白っぽい豆)が多いです→格付けによる違い
非水洗式であるため、センターカットが黒っぽいものが多く、水洗式に比べて表面の光沢が少なくマットな質感です。
グアテマラHB(水洗式)
水洗式のため、センターカットが白っぽいものが多くみられます。
非水洗式と比較して色が比較的揃っています。全体的に光沢があります。
コロンビアと似ていますが、コロンビアのようにセンターカットがS字になっているものが比較的少なめです(多少は入っていますので間違えないように)
コロンビエクセルソUGQ
センターカットがS字になっているものが多いです
エクセルソスプレモよりは粒の大きさにばらつきがあります。
水洗式のため、センターカットが白っぽいものが多くみられます。
非水洗式と比較して色が比較的揃っています。全体的に光沢があります。
コロンビアエクセルソスプレモ
センターカットがS字になっているものが多いです。
エクセルUGQよりは粒の大きくばらつきがありません。全ての豆が大きいのが特徴です
水洗式のため、センターカットが白っぽいものが多くみられます。
非水洗式と比較して色が比較的揃っています。全体的に光沢があります。
グレード別判別(配点10点)
グレード(格付け)を判別します。ブラジルタイプ2、ブラジルタイプ4/5、グアテマラSHB、グアテマラEPW、コロンビアエクセルソスプレモ、コロンビアエクセルソUGQの中から1つの産地が出題されカッピングを行いその格付けを判別しました。
産地が分かる訳ではないので、飲んだ時にまず産地が分からなければなりません。
ブラジル→おだやかで抑揚少なくわずかに苦味を感じる
グアテマラ→スッキリしていて抑揚あり、酸味があって、キレが良い
コロンビア→スッキリしていて抑揚あり、酸味があって続く
ブラジル
タイプ2の方がしぶみが少なく、タイプ4/5の方が渋みを感じられます(私的には温度が下がってからの方が分かりやすかった)
グアテマラ
SHBは華やかで、酸味がはっきりしています。EPWは抑揚に欠けます。
コロンビア
味の違いはあまりなく、最も難しいと思います。味があまり変わらないのがコロンビアと言えるかもしれません。強いて言うなら、スプレモの方がわずかに抑揚があるような気がしました。
配合分析(配点20点)
2つの豆を混ぜ合わせた検体が2種類配られ、それぞれの検体で配合分析を行います。選択肢にはグアテマラHBとインドネシアWIB−1、ブラジルタイプ2とコロンビアエクセルソOGQ、グアテマラとコロンビアの配合比の選択肢がありますが、グアテマラとコロンビアが出題された場合、特徴が似ているため難易度がかなり上がります。出らた諦めるレベルです。出ないことを祈りましょう。
全てが当てはまる訳ではなく、まずは分かりやすい豆と分かりにくい豆に分け、次に分かりにくい豆を、先に分けたどちらに似ているか比較してください。
グアテマラHBとインドネシアWIB-1の外観の比較
カネフォラ種であるインドネシアWIB-1は肉厚でコロコロしています。
フラット面からラウンド面にかけてのエッジが鈍角です。
アラビカ種であるグアテマラHBは厚みが薄く、フラット面からラウンド面にかけてのエッジが鋭角です。
インドネシアWIB-1のは先端が尖ったものが多く、センターカットが両端まで伸びていないものが多いです。
ブラジルタイプ2とコロンビアエクセルソUGQの外観の違い
非水洗式のブラジルのセンターカットは黒っぽいものが多く、水洗式のコロンビアは白っぽいものが多いです。また、コロンビアのセンターカットはS字のものが多いです。
ブラジルは俵形で、角張っており、コロンビアは細長いものが多いです。
表面の光沢も、コロンビアの方があり、ブラジルはマットな感じです。
コロンビアの方が高地で栽培されているため、豆表面にシワが残りやすいそうです。
配合比率の選択肢は1:3(10g:と30g)、2:2(20gと20g)、3:1(30gと10g)の3種類です。回答時間は40分でした。練習していれば十分足りる時間ですが、練習が足りない場合は時間がかかり慌てるかもしれません。自分が得意な豆の組み合わせからとりかかる様にましょう。講習会の時の様にA3の白い紙が配られるので、真ん中で折り曲げ、分けていきました。私は、左側と右側で産地を間違えない様に上の方の空白に豆の産地を記入しました。最終的に問われているのは体積比ですので、最後まで分け切ることが重要です。分からない豆は悩まずよけておいて、どんどん分けて行きましょう。
1:3は明らかに量が違いますので多少分けるのを間違っても答えが分かりやすいです。
一方、1:1の場合少し間違っても体積差が変わってきますが、1:3と比べてその差は少なくなります。1:3の体積比で分けた検体を一度練習で分けてみた方が良いと思います。
オリジン選択(配点10点)
2つの検体をカッピングし、産地を回答します。
インドネシアAP-1、インドネシアWIB-1、ブラジルタイプ2、エチオピアG4、グアテマラHB、コロンビエクセルソUGQの中から出題されます。
6種類を同時に分けるのではなく、6種類の中から2種類だけ選ばれるため、検体を飲んだ時に分からなければなりません。
カネフォラ種か否か、エチオピアか否か、非水洗式か水洗式かで大まかに推測し、各産地の特徴の味を思い出しながら判別しました。
大まかな味の特徴
カネフォラ種(麦の様な独特の香ばしさ)
AP-1(非水洗式)→穏やかで後味が少ししぶみを感じる
WIB-1(水洗式)→スッキリした味
アラビカ種
エチオピア→花やドライフルーツのような甘い香り
ブラジル(非水洗式)→穏やかな味で酸味少なくわずかな苦味がある
水洗式→酸味があり抑揚がある
グアテマラ→吐き出した後、酸味が早めになくなりキレが良い
コロンビア→酸味が最もある。吐き出した後も酸味が続く
微妙な味の違いを判別する実技試験において、検体を挽く際に、豆同士の混入は極力避けたいと私は考えました。そこで以下に紹介する分解、丸洗いできるポーレックスコーヒーミルがおすすめです。手動のミルであるため、比較的静音なので夜中でもあまり気にせず練習できます
私が自宅で実際に行った手順
効率的に対策するために、煎豆外観問題とオリジン選択問題(カッピング)を同時に行いました。
- カップテスト用の①〜⑥の検体を豆の状態でシャッフルし、外観で豆の種類を判別し答え合わせ
- シャッフルし、豆を挽き、粉の状態で見た目と香りで判別する。
香りでカネフォラ種(麦に様なにおい)とエチオピア(花やドライフルーツの様なにおい)、ブラジル(苦いにおい)と水洗式(酸っぱ目のにおい)を大まかに分け、見た目で白い粒の多さ(未成熟豆の多さ)を確認 - 注湯を行い注湯直後の香りで判別する
- 4分後スプーンで3回混ぜ香りで判別する。この時最も香りが出るので集中
- 表面のアクや浮いている豆を取り除いた後味と香りで判別する。火傷に注意する。熱い時と冷めてからで比較する。
時期別対策
試験開始の18日前から実技試験対策を行いました。
試験の1週間前までは配合分析、煎豆外観判別、オリジン問題(カップテスト)の練習を反復しておこないました。カップテストは6種類を同時に比較して特徴の違い、自分なりに判別できるポイントを学びました
試験直前の1週間前から、
配合分析は奥さんに検体(グァテマラとインドネシアorブラジルとコロンビア)を任意の割合1:3(10g+30g)or2:2(20g+20g)or3:1(30g+10g)で混ぜてもらい、答えが分からない状態で試験と同じ40分測って分ける練習を行い答え合わせをしました。
検体キットに含まれていないダメージの判別(リオと正常豆、未成熟豆と正常豆)
グレード別の判別(ブラジルタイプ2とブラジルタイプ4/5、コロンビアエクセルソスプレモ、とエクセルソUGQ、グアテマラSHBとグアテマラHB)の練習も行いました
試験直前の3日間はカップテストは検体キットの①〜⑥の中から奥さんに任意で2つ豆を選んでもらい、豆を挽いた状態で用意してもらい、カッピングを行い後でで答え合わせをするといった事を繰り返しました。
試験対策より重要なこと
それは体調を整えることです。長時間の勉強で自分を追い込みすぎて体調を崩してしまうと本末転倒です。実際に私は試験の1週間ぐらい前から風邪をひき、鼻づまり症状も出てカッピングの練習に支障をきたしてしまいました。
本番は点鼻薬や抗アレルギー薬を飲んで気合いで乗り切りました。
試験を受けて感じたこと
全体を通して、検体の香りを薄く感じました。家ではカッピング直前に豆を挽いていたのが原因かもしれません。全国数地点の会場で同時に試験が開始されることから、数日前から検体を挽いた状態で用意しているのではないかと思います。合格のためには極力本番と同じ状態で臨んだ方がいいと思うので、豆はカッピング直前に挽くよりも、少し前に挽いた方が本番の状態に近いかもしれません。
自分で豆を挽いた際にはチャフが混じるのですが、私見では非水洗式はチャフが少なく、水洗式は多く見える傾向にあり、判断の基準にしていましたが、試験時の挽き豆は、チャフが取り除かれてありましたのでチャフによる判別はしない方がいいと思います。
配合分析では、目と神経を酷使しますので問題を解いた後に頭痛がしました。休憩時間に鎮痛剤を飲んで事なきを得ましたが、心配な方は鎮痛薬を持参していた方が安心だと思います。
まとめ
↓1級試験の筆記試験対策はこちらから
↓筆記試験の過去問はこちらから